mandom - 株式会社マンダム
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Interview 02

製品評価研究所 2015年入社
化粧品の大手OEMメーカーで研究職として約13年勤めた後、2015年に中途入社。前職を含め、長く安全性評価の研究に従事。豊富な経験を生かし、動物実験に代わる新たな試験・評価方法の研究を進めるなど製品開発を支えている。
- — まずは、これまでの経歴を教えてください。
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前職の化粧品OEMメーカーでは、約13年在籍し、基礎研究分野で化粧品の有用性評価や安全性評価を中心に研究していました。
そもそも化粧品業界に入ったのは、大学時代に老化(加齢)の研究をしていたのがきっかけです。当時、化粧品メーカーと共同研究を行ったりもしていたので、経験やスキルを活かせると思ったんです。
- — 13年間にも及ぶ在職後に、なぜマンダムへ転職したのでしょうか。
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仕事は楽しくて充実していたんですが、結婚して子供が産まれ、そして子供が大きくなるにつれ、この先のキャリアについて改めて考えるようになりました。そうする内に、今以上に新鮮な気持ちで研究に向き合いたい、ステップアップしたい。そんな思いが湧き上がってきたんです。
転職する際に大切にしたのは、これまで培ってきた経験を生かしたいという思いです。マンダムは学会発表を積極的に行っていましたし、安全性評価の研究にも力を入れていたことが、決め手になりました。
- — 現在はどのような業務を担当しているんでしょうか。
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前職と同じ、安全性の評価です。新規原料の安全性を評価したり、製剤についてもリスクがないかどうか、パッチテストやスティンギングテストなどで安全性を確認します。スキンケア、デオドラント、あるいはヘアワックスや洗浄料など、商品によって求められる安全性の基準は違うので、使用目的やシーンに応じてしっかり安全性を評価する必要があります。
それと、生活者が実際に商品を使う状況を想定して使用試験を行ったり、例えば清涼感の強い商品であれば「強いクール感が好きな人向けですよ」と生活者にわかるように、注意表示や機能訴求を行う方法を考えたりもしています。安全性評価と一口にいっても、いろんな角度からアプローチすることが求められるんです。

- — マンダムならではの特長を感じることはありますか。
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マンダムに転職して強く感じたことの1つは、“オンリーワン”の商品を開発しようという姿勢ですね。
安全性評価はリスクを排除する、つまり“守り”の要素が強いんです。ただ、生活者に満足してもらうには機能性を追求する“攻め”の姿勢も必要です。しっかり安全性を確認した上で、機能や快適性も実現できれば、それは市場に受け入れられ、生活者の満足につながります。それを追求し、“オンリーワン”の商品を開発する。これがマンダムの強みなんです。
そんな独自の研究成果の1つが、刺激受容体「TRP(Transient Receptor Potential)チャネル」に着目した皮膚感覚刺激の評価方法です。これによって、高い清涼感と低刺激を両立させたデオドラント商品の開発ができるようになりました。
- — マンダムは動物実験代替法の研究にも熱⼼ですね。
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そうですね、先ほど説明した「TRPチャネル」もその1つです。それ以外にも独自の試験方法を研究しています。
例えば、日本動物実験代替法学会で私自身、何度か発表を行っています。2016年はエタノール配合製品の皮膚刺激性評価、翌年はデリケートゾーンの刺激性評価に関する代替法の研究成果を国際大会で報告し、2018年も新たな皮膚感作性試験法について発表しました。
そうやって自社独自の研究に取り組む一方で、他の化粧品メーカーや大学などとの共同研究を行うことも多いんです。例えば、2016年の代替法学会で「優秀ポスター賞」を受賞した皮膚感作性試験法の報告は、甲南大学と原料メーカーの株式会社ダイセルとの共同研究です。みんなで手を取り合って、業界の発展のために取り組んでいます。

- — それにしても、なぜ他にはない独自の研究成果を出せるのでしょうか。
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繰り返しになりますが、やはり“オンリーワン”を目指そうという気持ちが社内の隅々にまで浸透しているからではないでしょうか。研究スタッフは、みんな楽しそうに仕事をしていますよ。
研究現場はチームワークもいいですし、年齢や役職に関係なく「これはおもしろいんじゃないか」といったアイデアや提案に周りは興味を示し、後押ししてくれます。だから、オリジナルの研究成果が生まれやすいんだと思います。
- — 一方で、苦労することはないんでしょうか。
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安全性評価の仕事は、商品の設計段階から原料、処方(中味)開発、商品化されたとき、そして発売された後まで、どの段階においても注意深く確認する必要があります。
もちろん、私たちは客観的な試験方法とそれによるデータを積み上げ、厳しい安全基準のもとで商品を送り出しています。ただ、万が一の事態に備えて、学会や皮膚科医の先生から最新の情報を収集しながら、いつも「安全性は問題ないか」と気を配っています。そのため、常に不安と隣り合わせでもあるんです。

- — そうしたプレッシャーの中でも、研究を続ける原動力はどこにあるのでしょう。
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やはり、生活者に喜んでいただける商品を出したいからですね。苦労はあっても、自分が評価に携わった商品が店頭に並んでいるのを見たときはシンプルに嬉しいですし、それを使って生活者に満足いただけるなら、それは研究の醍醐味です。
そういう意味でも、“研究のための研究”をしていてもしょうがないんです。生活者の視点に立って、ちゃんと満足してもらえるには何が必要なのか。そこを見据えた研究こそ、マンダムが掲げる“お役立ち”ですからね。
- — 最後に、今後の抱負を聞かせてください。
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徹底して安全性を担保するために“守り”をがっちり固めつつ、ただそれにとどまらず、機能性の領域もどんどん開拓していきたいですね。安全性評価の研究は、人体の構造・メカニズムの解明や原料開発などの機能性、いわば“攻め”の分野に応用できるものが少なくないんです。攻守のバランスをとりながら、これからも“オンリーワン”の商品づくりに貢献していきたいですね。
(2019年3月現在の情報です。)