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汗の研究 汗アイコンワキの発汗挙動

日常生活に伴うワキの
発汗挙動の確認を可能に
ワキの発汗量は行動に伴って大きく変化し、
歩行中よりも歩行後に増大する

マンダムは、肌への密着性と快適性に優れた換気カプセルを独自開発することにより、ワキの発汗において連続性と定量性を兼ね備える評価方法を確立しました。その結果、ワキの発汗量は行動に伴って大きく変化し、歩行中よりも歩行後に増大することがわかり、また腕や首をボディシートで拭くだけで過剰な発汗を抑制できる可能性を見いだしました。

研究の背景

発汗は、ヒトの体温調節や免疫の観点で、多くの重要な役割を果たしていると言われています。しかしながら、腋窩(ワキ)の過度な発汗は、汗じみ等の衣服汚れや体臭の原因となり、近年の温暖化や社会環境の変化を背景に、悩みを抱える生活者が増えてきています。この悩みを解決するため、マンダムでは、汗腺の出口に制汗成分でフタをする制汗剤に加え、汗腺の分泌部に直接作用する次世代制汗剤の創出に取り組んでいます。生活者にとってより満足度の高い制汗剤を実現するためには、次の二つが重要です。

(1) 発汗の挙動(どのような場面で、どの程度の発汗がされているのか等)を知ること

(2) 発汗を抑えたい場面で、開発した製品による制汗効果を確認できること

従来の測定方法では、日常生活の中で連続的に、かつ定量的に発汗量を測定することができず、これらを知ることができませんでした。

研究成果1 日常生活に伴う発汗挙動を
マンダム独自開発の換気カプセルを用いて可視化
~ワキの発汗量は行動に伴って大きく変化し、歩行中よりも歩行後に増大する~

今回は、発汗挙動を知るために、マンダムで独自に開発した換気カプセルを用いた発汗量評価方法により、夏場(気温約35℃)の行動(自宅から職場への移動、職場での勤務、昼食)に伴う、ワキの発汗挙動を確認しました。発汗量が多い被験者では、自宅からの屋外移動中に発汗量が増大しました。そして出社後、冷房環境下での業務において発汗量が低下し、行動に伴って大きく発汗挙動の変化が起こることがわかりました(図1)。さらに、屋外歩行後は、歩行中よりもワキの発汗量が増大することがわかりました(図2)。一方、発汗量が少ない被験者も存在します。今回の試験では、発汗量が多い人と少ない人の最大発汗量の差は約35倍であることがわかりました。

(図1)発汗量が多い被験者のワキ発汗挙動
(図2)運動(歩行)終了前後のワキ発汗量の比較

研究成果2 ボディシートで腕や首を拭くことで、運動により促進されたワキの発汗を抑制できる可能性

さらに、運動後、身体をボディシート(メントールを含む市販商品)で拭くことによる、ワキ発汗へ与える影響を確認しました。その結果、運動により促進された発汗は、運動終了後にワキ以外の部位(首や腕など)を清拭することで、速やかに低下しました(図3)。つまり、制汗剤のワキへの使用が困難な日中場面においても、腕や首をボディシートで拭くだけで、ワキの過剰な発汗を抑制できる可能性を見いだしました。

(図3)ボディシートをワキ以外(腕、首など)に使用した場合のワキ発汗量の変化

研究成果3 生活者の発汗挙動を知るために、日常生活でのワキの動きにも耐えうる、独自のワキ発汗量の測定方法を確立

以上の評価は、今回、独自に確立した発汗評価方法によって成し得たものです。従来、存在する発汗評価方法のうち、定量性に優れた方法が換気カプセル法です。これは、測定部位に接着した「換気カプセル」に、ガス(空気または窒素)を送り、カプセルに流入したガスの湿度とカプセルから流出したガスの湿度の差から発汗量を算出する方法で、前腕部など屈曲や皮膚の伸展が少ない部分での測定に適しています。しかし、ワキなどの、日常生活で屈曲や皮膚の伸展を伴う部位での測定には適していませんでした。そこで、今回、3Dプリンタを用いて皮膚と接触するカプセル部分の形状を複数作製し、最も密着力が高く、日常生活において貼り付けていても不快感の少ない形状(図4)として、次の3点を導出しました。

(1) 皮膚との接着面積は200㎟~600㎟

(2) 1㎝以下で、換気ができる厚みが維持されている

(3) 角がなく、丸みをおびている(カプセル形状について特許登録済み)

また、前腕部を用いて、従来の換気カプセル法と同様に発汗量の測定が可能であることを確認し、新たな発汗量測定方法(図5)として確立しました。

(図4)開発したカプセルと従来型カプセルの形状の違い
(図5)日常行動時のワキ発汗の測定に適した評価機器

Future Vision今後の展望

次世代制汗剤の創出へ

今後は、今回確立した評価方法を活用し、発汗に関する新たな知見を収集していく予定です。汗腺研究の成果と組み合わせ、生活者が実感できる、高い制汗効果を有する次世代制汗剤の創出に繋げて参ります。

今後の展望