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Illustration: Keiko Shindo

真夏の激辛ラーメンは
辛さも痛さも倍増?

大流行の激辛ラーメン。唐辛子まみれの真っ赤な血の池地獄のようなスープは見ただけで汗が噴き出しそうです。でも、実際に激辛を食べると冷房が効いているのに体は暑くなり汗が噴き出て、辛さだけじゃなく口の中が痛くなりますよね。なぜ、辛いものを食べるとこんなことが起こるのでしょうか。

「さあ完食するぞ!」といざ激辛ラーメンの麺をズズズ一ッとすすると「あれっ? 辛くないじゃん。 ぜんぜん楽勝~(笑)」と言ったあとに、しばらくして「う、あああカライいい。あ、痛ーーーい!」と悶絶した経験ありませんか? そう、辛さや痛さはちょっと遅れてやってくる。実は、辛いのも、痛いのも、遅れてやってくるのも、汗が出るのも、これってすべてカプサイシンと「TRP(トリップ)チャネル」のせいなんです。

水を飲んでも辛さは
おさまらない、そのワケは

唐辛子を食べると辛いだけじゃなくて熱い、痛いと感じるのはなぜかというと、熱い温度に反応する細胞の感覚センサーを唐辛子の成分が刺激してしまうから。体のあらゆる細胞にある「TRPチャネル」という感覚センサーで、私たちは熱い、冷たいという温度を感じています。43℃以上の熱めの温度に反応するのが「TRP(トリップ)V1」で、この 「TRPV1」が反応すると熱さを痛みとして感じさせます。そうすることで、熱いことは生体にとって危険なのだと警告するのです。

そして、この「TRPV1」は、なんと唐辛子の辛味成分であるカプサイシンにも反応。そのため唐辛子たっぷりの激辛ラーメンを食べると、辛さを「熱い、痛い」と感じるのです。痛さがあとからやってくるのは、このカプサイシンの性質のせい。カプサイシンは脂溶性で口の中の細胞を通り抜けてから「TRPV1」を刺激するために、タイムラグが生じてしまいます。さらに、辛さや痛さをなんとか消したくて水を飲んでもおさまらないのも、細胞に入ってしまったカプサイシンは洗い流せないからなのです。

この夏は激辛冷ラーメン? 
冷たい方が辛さを感じにくい

カプサイシンによって「TRPV1」が刺激されると脳が熱いと感じて、体温を下げようとして大量の汗をかきます。とはいえ、実際には体温は上がっていないのに大量の汗をかくと、体温が下がって体が急激に冷えてしまうはずですよね。ところが、同時に体の熱産生を促すスイッチが入るため、体が芯から冷えることはないのです。汗をかいたことで体の表面の温度が少しだけ下がり爽快感を感じるため、東南アジアなど暑い地域で辛いものが好まれるのだとか。ちなみに、カプサイシンがダイエットに有効だといわれるのはこの熱産生を促すスイッチが入るためで、つまりは「TRPチャネル」が関係しているのです。

とはいえ、熱々の激辛ラーメンは、「熱い」+「カプサイシン」の相乗作用で激辛激痛はまぬがれません。しかも、冷房の効いた室内で熱々の激辛ラーメンを食べるのはかなり危険。 冷房で冷えた体とラーメンの温度差で熱さをより感じやすくなるからです。辛くて食べられないときは、ラーメンを冷ましましょう。熱いより冷たい方が辛さを感じにくくなります。
「ヤボなことは言うな! 夏は挑戦の季節!」と辛いものが大好きな人も無茶な激辛チャレンジはほどほどに。