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illustration: okoto

夏のビーチで
シャワーの温度が重要なワケ

白い砂浜に打ち寄せる波──解放感にあふれた夏のビーチは魅力的です。日焼けは肌の老化のもとだとわかっていても、夏の海の誘惑には勝てずに日焼け止めを塗って万全の体制で臨んだビーチリゾート。ところが、楽しさのあまり日焼け止めの塗り直しもパラソルも忘却の彼方へ。気づけば、しっかり日焼けして肌がヒリヒリ……。

そんなときに、シャワーを浴びて「アツッ!イタッ!」と焼けるような痛みを感じたことはありませんか? お湯の温度はかなりぬるいのになぜ痛く感じるの? 日に焼けた肌にお湯がしみるから? いえいえ、実はこれは、TRP(トリップ)チャネルという体に備わった細胞の感覚センサーが関係しているんです。

TRPチャネルのなかでも、43℃以上の熱さを感知するのがTRPV1(ブイワン)。通常は43℃以上になるとTRPV1が反応して、私たちは「熱い」と感じるのですが、日焼けで皮膚が炎症を起こすことでTRPV1が活性化しやすい状態になり、30℃ぐらいのぬるい温度でも「熱い」と感じてしまうのです。日焼けしたときは、シャワーのお湯の温度にくれぐれも気をつけましょう。

唐辛子の刺激を求めるのは
人間だけ!?

ちなみに、唐辛子の辛み成分・カプサイシンもこのTRPV1を活性化します。唐辛子を食べると「辛い」を通り越して、熱い、痛いと感じるのはそのためです。辛いものが好きな人は、「この刺激がたまらない!」という人も多いですが、人間以外の動物はそうは思わないようで唐辛子を食べません。唯一食べるのが鳥類で、ニワトリは唐辛子を混ぜたエサも平気で食べるといいます。その理由は、鳥にもTRPV1はありますが、鳥の場合は熱には反応してもカプサイシンには反応しないというのです。つまり、カプサイシンを食べても辛さは感じないというワケです。

実は、カプサイシンでも日焼けした肌と同じような体験ができます。唐辛子を切った断面か、もしくは一味唐辛子などを肌に塗ってしばらく置いてからぬるま湯をかけると、通常より熱く感じるのです。これはカプサイシンによってTRPV1が活性化する温度が43℃からグッと下がるからです。熱いお湯をかけると痛みを感じるのでくれぐれもご注意を!

今の季節は唐辛子ではなくミントの葉がおすすめです。ペパーミントの葉っぱをちぎったものか、ハッカ油(ペパーミントオイル)をほんの一滴、片手の甲に塗ってみましょう。塗るだけでスースーしますが、両手を水につけるとどうでしょうか。塗った方がより冷たく感じませんか? 実際は両手の表面温度は同じですが、涼しいのはTRPチャネルのTRPM8(エムエイト)が水の冷たさとの相乗効果で反応するため、そう感じるのです。

そういえば、うっかり日焼けのあとは肌をクールダウンさせてたっぷりの保湿を。肌は夏の紫外線で大量にダメージを受けているので、リセットする気持ちでしっかりケアしましょう。