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ステークホルダー・ダイアログの取り組み 2016.06.07

同志社大学大学院ビジネス研究科 藏本教授による消費者課題の講義とダイアログを開催しました。

 2016年5月23日(月)、同志社大学 大学院 ビジネス研究科 教授 藏本一也さまにご協力いただき、「消費者課題」についての講義とステークホルダー・ダイアログ(対話・意見交換)を開催しました。

 わたしたちは、昨年2015年12月にマンダムグループとして初めて選定した「CSR重要課題(初版14項目)」に基づいた取り組みを開始していますが、今回は、以下の4つのテーマに関連した取り組みとなっています。

 

~関連するマンダムグループCSR重要課題(初版)~

【No.02】組織統治:企業理念・企業文化、コンプライアンスの推進
【No.11】消費者課題:生活者の安全衛生と品質への責任
【No.12】消費者課題:生活者との新たな共通価値の創造
【No.13】コミュニティ参画発展:新しい社会のパラダイムの感知と貢献

 

 また、マンダムグループは、2015年9月に「国連グローバル・コンパクトの10原則」の支持を表明しました。その「国連グローバルコンパクト」の活動のひとつに、2030年までの国際社会全体の課題と目標についてまとめられた「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の活動の推進があります。

 消費者課題は、この「持続可能な開発目標(SDGs)」の17テーマのひとつである「【目標12】つくる責任 つかう責任:持続可能な消費と生産のパターンを確保する」にも掲げられており、マンダムグループとしても、よりグローバルな視点で考えなければならないテーマとなっています。


~藏本 一也さま プロフィール~

  • 同志社大学 大学院 ビジネス研究科 教授
  • 関西学院大学 経済学部 講師
  • 独立行政法人 国民生活センター 特別顧問 兼 紛争解決委員会 委員
  • 公益財団法人 関西消費者協会 理事
  • 関西テレビ オンブズ・カンテレ委員会 委員長
  • 大阪いずみ市民生協 社会的責任評価委員会 委員長

関西学院大学 法学部 政治学科卒業。33年間のミズノ株式会社でのサラリーマン生活から現職へ。
ミズノ株式会社 品質保証部長、株式会社ミズノアベール 社長、公益社団法人消費者関連専門家会議理事長、内閣府や経済産業省の委員などを歴任され、神戸大学 大学院 経営学研究科 准教授を経て、2013年より同志社大学 大学院 ビジネス研究科 教授に。


◆【第1部】消費者課題の基本を学ぶ

 第1部では、取締役 専務執行役員 北村達芳、以下、生産、開発、営業、リソースなど様々な部門から25名の社員が参加し、藏本教授による講義を受講しました。

 講義の前半では、日本企業の企業不祥事の歴史とその傾向を紹介され、不祥事を起こした多くの企業が、自らの事業を支えている真の顧客(消費者)の存在を忘れ、または軽視し、「経営判断」という名の下で多くの過ちが繰り返されている現状を解説されました。

 また、講義の中盤では、消費者問題の歴史と消費者対応の変遷、発生した問題に対応する際に理解しておくべき原則や考え方などを、実際に起こった具体的な事例の紹介や「緊急時にもしあなただったらどう判断するか?」などの設問も交えながら解説されたうえで、現代の消費者問題についての重要なポイントとして、以下の3点を説明されました。

 

[消費者問題の重要なポイント]

  1. 「消費者の立場から」「消費者の視点から」の表現には、消費生活ばかりではなく、市場経済や経済社会の諸問題を捉えようとしていること。
  2. 自分たちが消費者であるという自覚に基づき、解決を図ろうとする生活問題や社会問題であること。
  3. 全ての人々が消費者であるという現代社会の構造に根ざす問題として、社会問題や消費者運動を通じて発見された問題であること。

 講義の後半では、国際社会で尊重されている消費者の権利、日本国内の消費者基本法や景表法などの法制度も踏まえた、現代社会における「企業の使命」、「消費者の安全」、「企業成長と消費者の信頼」などについて解説され、参加者全員が、日本におけるCSR(企業の社会的責任)の原点ともいえる「三方よし」の精神と古来から伝わる「日本品質」の素晴らしさについて再確認しました。


◆【第2部】ダイアログの実施

 第2部では、藏本教授を囲んで、「企業行動と消費者、企業の生活者志向経営の推進」をテーマに、以下のメンバーとのダイアログ(対話・意見交換)を実施しました。


[消費者課題ダイアログの参加者]

同志社大学 大学院 ビジネス研究科 教授

  • 藏本 一也さま


株式会社マンダム

  • 北村 達芳(CSR推進担当役員/取締役 専務執行役員)
  • 渡辺 浩一(オブザーバー/執行役員 福崎工場工場長)
  • 内山 健司(オブザーバー/執行役員 宣伝販促部 部長)
  • 井上 恭仁雄(オブザーバー/製品保証部 部長)
  • 藤原 延規(総括製造販売責任者/CSR推進部 部長)
  • 三﨑 仁(技術開発センター ヘアケア製品開発室 室長)
  • 垣東 めぐみ(技術開発センター スキンケア製品開発室)
  • 川嶋 久志(製品保証部 製品保証室)
  • 西本 浩章(福崎工場 品質管理課 課長)
  • 奥田 学(宣伝販促部 販売促進課 課長)
  • 菅沼 雅文(商品開発部 商品開発課 課長)
  • 大谷 希理加(商品開発部 商品開発課)
  • 櫃本 久美子(第二マーケティング部 課長)
  • 米田 実(CSR推進部 品質保証室 室長)
  • 壷井 正輝(CSR推進部 お客さま相談室)
  • 西山 掌(ファシリテーター/CSR推進部 環境・社会貢献推進室)


 ダイアログでは、同席した全員が、それぞれの立場からの消費者問題や企業の使命についての考え方、そして、日常の業務を通じて感じる不安や悩みを語り、藏本教授にコメントやアドバイスをいただく形で進めました。

 ダイアログを通じて、多くの社員は、常に生活者(消費者)の視点で判断しなければならないと考えているものの、生活者(消費者)と会社員との両面を持っており、緊急事態に遭遇し、その場で迅速な判断が必要になった時、「果たして自分は正しい判断ができるだろうか?」という不安を持っていることに気付かされました。

 また、「経済・社会・環境」の3つ(トリプルボトムライン)を総合的に引き上げ、安心・安全で、高い品質の商品・サービスを安いコストで提供し続けるためには、「技術力」と「開発力」を持続的に向上させる努力が必要であり、そのための努力は、企業の成長と消費者からの信頼のみでなく、持続可能な社会の形成にもつながるものとあらためて確認しました。


◆藏本教授からのコメント

 近年、大手企業の不祥事が多数発生し、その結果「企業の存続」が危ぶまれるような事態が発生しています。原因はいろいろと考えられますが、大きく二つに分けて考えられます。
 第一に、「企業風土」の問題です。風通しの悪い風潮、悪い情報が経営トップに上がらない仕組みなど、創業以来脈々と築かれてきた「企業風土」は一朝一夕に変えられるものではありません。それらの企業が大きく変革するには、相当な人員の入れ替えと痛みを伴います。上司・部下との風通しの良い企業は、そのような「負の連鎖」を負うリスクが少ないのです。
 第二に、「ステークホルダー軽視」です。特に消費財製造企業では「消費者」を最も重視することが重要です。消費者の意見をどのように商品開発や改良に取り入れるか、これが「企業姿勢」の表れになります。必ず問題になるのが「コスト」との関係です。根拠のない消費者意見や要望などの是非を素早く判断し、有益な意見を素早く取り入れる仕組みの構築と人材育成が必要なのです。
 これらのことを考えて真摯に経営に取り組んでいる企業は、消費者から信頼を得られ、応援してもらう仕組みが「消費者市民社会」の実現につながります。そのためには、ますますの情報公開と消費者や消費者団体との積極的な交流や各種消費者教育への貢献が必要になります。
 昨年、国連グローバル・コンパクトに盟約され、ステークホルダー・ダイヤログなどに積極的に取り組まれているマンダムグループのみなさまには、これらの課題を十分に果たされ、日本を代表するCSR実践企業になっていただくことを期待しています。


◆参加者コメント

藤原 延規 (総括製造販売責任者/CSR推進部 部長)

 当社では、厚生労働省が規定する「製造販売品質保証基準」「製造販売後安全管理基準」、業界自主基準である「化粧品製造品質管理基準」を基幹に、企画から設計・開発、生産、出荷、宣伝、営業、顧客対応のプロセスにおいて、品質マネジメントシステム(QMS)を運用していますが、今回のダイアログを通じて、QMSの全プロセスにおいて、常に生活者の視点から品質を真摯に捉え、迅速に考働していくことの重要性を強く再認識しました。
 今後、生活者との新たな共通価値を創出するため、「個人の能力」と「組織の風土・文化」の向上・醸成と共に、QMSの改善・向上に注力して参ります。

 

垣東 めぐみ (技術開発センター スキンケア製品開発室)

 今回のダイアログに参加させていただき、企業としての利益確保と、生活者満足のための品質設計や企業としての取り組みは、決してトレードオフの関係ではなく、共にバランスをとりながら高めていくべきものであると認識することができました。特に、コストと品質(機能性、安全性等)のバランスは会社の技術力や開発力を持って克服していくことが必要であるとのお話は、製品開発の中枢を担う部門として身が引き締まる思いがしました。
 マンダムにとってのCSRとはステークホルダーに対する“お役立ち”であるという意識を常に持ちながら、今後もマンダムの一員、そして社会の一員として考働していきたいと感じました。


三﨑 仁 (技術開発センター ヘアケア製品開発室 室長)

 企業不祥事の原因の多くは、生活者不在の思考回路に陥っていることが多いことから、あらためてCSR・サスティナビリティといった取り組みの重要性を理解することが出来ました。
 また、開発部門の一員として、品質、環境、社会といった大きな枠組みの中で、製品を通じてお役立ちしていかなければならないという責務の大きさを感じる一方で、単なる法令順守という意味以上に、様々な社会のニーズ、価値創造、市場創造に結びつけ、企業と社会との相乗的発展を図っていくことを念頭に、今後もあらゆる業務の中で「三方良し」の精神で考働していきたいと思います。


米田 実 (CSR推進部 品質保証室 室長)

 消費者課題において企業と消費者との間には、圧倒的に「コストの転嫁力」の格差があるということを、わたしたちは常に意識しておかねばなりません。企業が負担する様々な開発・製造・販売などのコストは商品価格に反映され転嫁・回収出来ますが、消費者が購入コストを転嫁するには、その商品に魅力を感じ、「満足」という無形の価値になってはじめてコストが昇華されるのです。それゆえに、わたしたちは安全性や品質の保証は勿論のこと、生活者に商品を通じていかにわたしたちの気持ちをお届けするかということに努めなければなりません。
 藏本教授から投げかけられた『安全性に対する不確かな情報をいかに決断し考働するか、売上・利益をとるか、それとも利益を損失しても安全性の担保をとるか』という例題は、まさに参加者自身がどの立ち位置で仕事をしているかということを自覚できた、まさに正鵠を射た質問だったと思います。
 「企業の常識は世間の非常識」になっていないだろうか。自分自身の「企業脳」には、常に警鐘をあたえていかなければならないとあらためて思いました。


西本 浩章 (福崎工場 品質管理課 課長)

 普段は、生産品の品質管理担当者として、検査規格に基づいた検査と生産ラインの工程検査を行っていますが、自分の意識が眼の前の製品と機械のみを相手にしてしまい、実際に購入される生活者の方々を意識できず、機械的な判断を行いがちであることを改めて感じることが出来ました。
 また、蔵本教授から日本品質の原点である近江商人の「三方良し」(売り手よし・買い手よし・世間良し)の言葉を聴いたときに、マンダムに入社時の研修で観た近江商人の「てんびんの詩」のことを思い出しました。
 自分も一製造企業の社員であると同時に、一生活者であることを自覚し、安全・安心で品質の高いものづくりを実践してまいります。


川嶋 久志 (製品保証部 製品保証室)

 「生活者からの声に対して真摯に向き合っていますか?」「コスト優先で安全・安心が疎かになっていませんか?」「生活者である自覚を失っていませんか?」。これらの問いかけは品質保証の業務では当たり前のことですが、その当たり前のことが出来ているのかと自問自答させられたダイアログでした。
 また、消費者問題とは、消費生活のことだけを問題にしているのではなく、自分たちが消費者であるという自覚に基づき解決を図ろうとする経済社会の諸問題のことだと知り、企業経営の重要なファクターのひとつになっていると感じました。
 永続的な企業発展には、生活者から信頼されることが必要であり、そのためには、「生活者を見て、生活者に耳を傾け、生活者を知る」ことが重要であると認識しました。


菅沼 雅文 (商品開発部 商品開発課 マネジャー)

 品質不良が発生した際、最終・最大の被害者は生活者であると頭では理解しているつもりでも、時として会社視点で議論・意見してしまうことがあります。最後まで生活者の便益を考えて判断する強い意思を持ち続ける必要性を再認識しました。
 また、緊急時の判断力を養うためには訓練が必要であるという考えには賛成します。わが社でも実践し、社内教育を通じて訓練していきたいと思いました。


大谷 希理加 (商品開発部 商品開発課)

 遠回りに見えても「誠実であること」を心の指針として真摯に物事に対応していくことが、結果として最速の改善結果をもたらすということは、今回ダイアログに参加したメンバーだけでなく、社内全員の共有認識にしていく必要があります。
 また、わたしたちは、誠実であると同時に、開発の途中途中でふと足をとめ、客観的な生活者視点に立ち返りながら新しい価値の提案をし続けていきたいと思います。


西山 掌 (ファシリテーター/CSR推進部 環境・社会貢献推進室)

 今回、わたしたちの経営理念のひとつである「生活者発・生活者着」に基づいて常に考働するには何が必要なのかを学ぶべく、公益社団法人 消費者関連専門家会議(ACAP)の取り組みでもお世話になっている藏本教授にご協力をお願いしました。


参考:公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)公式ホームページ
 

 消費者課題は、その範囲も広く、供給側(企業)も需要側(消費者)も、それぞれの立場や国の経済状況、ライフスタイルの違いなどで視点や考え方が異なることも多いことから非常に難しいテーマですが、「安心・安全の確保」「高い品質と安いコスト」「持続可能な消費と生産の確保」は、全ての国や立場の違いを超えた共通の課題だといえます。今回、藏本教授から、参加メンバーからの質問や相談に対して、わかりやすい解説やコメント、自らのご経験も踏まえられた助言までもいただき、参加者一同、消費者課題について理解を深めることができたと思います。

 今後もお客さまからの声を活かす仕組みと多様で幅広いステークホルダーからの期待と要請を敏感に察知するCSR推進体制の確立と強化に尽力してまいります。 

 なお、今回の取り組みについては、8月発行予定の「考働レポート2016」でもお伝えする予定です。
 藏本教授におかれましては、ご多忙中にも関わらず、ご協力頂き、有難うございました。今後とも、ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。

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