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ステークホルダー・ダイアログの取り組み 2017.11.09

「ビジネスと人権」についての自主勉強会と有識者とのダイアログを開催しました。

 2017年10月03日(火)、グローバルな人権問題と企業の取り組みに詳しい有識者の方々をマンダムグループ本社(大阪)にお招きして「ビジネスと人権」についての自主勉強会とダイアログ(対話・意見交換)を開催しました。

 今回の取り組みは、以下のマンダムグループCSR重要課題、および、グローバル企業として尊重すべき国際行動規範や持続可能な社会の実現を目指す国際社会の取り組みなど、主に以下の国内外の枠組みを踏まえて開催しました。

~マンダムグループCSR重要課題(第2版)~

課題No.02:企業理念・企業文化・コンプライアンスの推進
課題No.03:人権啓発への継続投資
課題No.10:CSR調達体制の構築と運用
課題No.13:新しい社会のパラダイムの感知と貢献
課題No.14:社会との価値共創の実現

~国連グローバル・コンパクトの10原則(分野:人権・労働)~

原則01:企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである。
原則02:企業は、自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。
原則03:企業は、結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持すべきである。
原則04:企業は、あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべきである。
原則05:企業は、児童労働の実効的な廃止を支持すべきである。

~持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)~

目標08:働きがいも経済成長も
目標10:人や国の不平等をなくそう
目標12:つくる責任 つかう責任
目標16:平和と公正をすべての人に
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう(マルチステークホルダー・パートナーシップ)

自主勉強会では、国際的に活動している人権NGOのアムネスティ・インターナショナルの土井陽子さまに「ビジネスと人権」についてのご講演をお願いし、本社の社員約120名が参加しました。


公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
ファンドレイジング部門 土井陽子さま

 大学卒業後、日本からタイへの技術移転の推進事業を行う経済産業省の外郭団体に入職し、タイから派遣される訪日研修団の日本企業視察などを担当。在職中に内閣府の国際交流プログラム「東南アジア青年の船」に参加。その後、電機メーカーのCSR部門でCSR推進活動を担当。2014年より現職。企業の人権方針の策定や人権デューデリジェンスの取り組みなどのサポート、「ビジネスと人権」をテーマとしたeラーニングの実施などにも関わる。


 マンダムグループでは、これまで、社内での研修やコンプライアンス教育などで差別やハラスメントの問題を中心に学んできましたが、それらは人権をめぐる問題のごく一部でしかありません。
 2011年6月に国連で承認されグローバルスタンダードとなっている「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとして、ビジネスと人権をめぐる課題の対応と解決にむけたグローバル企業に対する期待と要請は多岐におよび、ますます重要性を増しています。2012年に米国で「カリフォルニア州サプライチェーン透明法」が施行されたほか、最近では、2015年3月に「英国現代奴隷法」が制定され、英国で事業活動を行う企業は、自社の人権に関する方針と経営トップによる声明をWEBサイトで公表するとともに、事業活動における全ての段階(サプライチェーンを含む)の人権の取り組みとその進捗状況について毎年公開しなければならなくなりました。その後、同じ主旨の法令は他国にも拡大しており、先進的なグローバル企業は、自社の原材料の調達先である東南アジアなど海外の下請け企業の工場や農園、生産地などでの人権侵害の有無、労働環境の状況などを調査し、その調査結果と今後の方針、人権問題の改善や救済にむけた取り組みを情報公開するようになりました。

 また、2017年4月には、国際標準化機構(ISO)より、人権や環境に配慮した「持続可能な調達」(責任ある調達やCSR調達とも呼ばれる)の国際規格「ISO20400」が国際社会にむけて発表されたほか、世界の食品や化粧品・日用品の製配販で組織されている業界最大の団体「コンシューマー・グッズ・フォーラム」や国際的に活動しているNGOや研究機関なども、サプライチェーンの川上までさかのぼった人権の取り組みの必要性を訴えています。

 こうした国際社会の動きは、マンダムグループの事業活動の領域でも例外ではありません。わたしたちの商品とも関わりの深いパーム油や、商品のパッケージや流通資材などの原料となる紙(森林資源)の供給地でも強制労働や児童労働、現地住民の土地の権利の剥奪などの問題が報告されるなど、サプライチェーンにおける人権問題の改善(人権侵害への非加担、実効的な廃止と救済の措置など)がグローバル企業に期待・要請されるようになりました。

 以上のような人権に関する基本的な枠組みや国内外の動向、実際に発生している人権問題の最新事例などについて、土井さまよりご講演いただきました。通常は企業のCSRやコンプライアンスの担当者に対して行うセミナーに近い内容だったのですが、事前でのお打合せにて弊社の事業活動とCSR推進の現状をご説明させていただき、弊社としては初めての「ビジネスと人権」についての勉強会であること、新入社員や契約社員なども含めて多様な部門からの社員が自由に参加する自主勉強会であること、また、自主勉強会の終了後に社内の選抜メンバーとのダイアログを行うことなどから、今回は約2時間の内容に凝縮していただき、下記のポイントを丁寧にわかりやすく解説いただきました。

 

~テーマ:「ビジネスから人権を考える」~

  1. アムネスティ・インターナショナルの活動と「ビジネスと人権」
  2. 「ビジネスと人権」に関する国際人権基準と企業の責任
  3. 日本企業の人権への対応
  4. 企業が人権に取り組む必要性

 自主勉強会の終了後、アムネスティの土井陽子さまに加えて、住友理工株式会社 CSR推進室長 鈴木美波子さまにもご参加いただき、「ビジネスと人権 ~社会の中で存在価値のある「人間系」企業に進化するために~」をテーマに、約2時間のダイアログを実施しました。


住友理工株式会社 CSR部 CSR推進室長 鈴木美波子さま

 雑誌編集者を経て、マンチェスター・ビジネス・スクール(英国・マンチェスター大学)にて経営学修士課程修了(MBA)。大手監査法人に入所し、内部監査・CSR/サステナビリティに関するコンサルティング業務に従事、幅広い企業に関わる。2013年、東海ゴム工業(株)(現・住友理工(株))に入社、CSR推進を担当。2017年1月より現職。昨年11月にスイス・ジュネーブで開催された「第5回 国連ビジネスと人権フォーラム」のセッションでは、日本企業として初めて登壇し、自社サプライチェーンにおける人権の取り組みについて発表。2017年度より国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン組織拡大委員も務める。

 

~ダイアログ参加者~

アムネスティ・インターナショナル日本 土井陽子さま
住友理工(株) CSR部 CSR推進室長 鈴木美波子さま
内部監査室 久保厳吾
購買部 購買管理課 平田忠彦
購買部 購買開発課 塩見祐子
購買部 購買開発課 笠原啓二
技術開発センター 包材開発室 岸本正人
コミュニケーション戦略部 課長 奥田 学
第二マーケティング部 一寸木 武
CSR推進部 CSR推進室 西山 掌(司会進行)

~オブザーバー(社内)~

  • 取締役 桃田雅好
  • 内部監査室 課長 徳野真岐子
  • 購買部 部長 村治得人
  • 購買部 購買開発課 課長 木内琢磨
  • 購買部 購買管理課 課長 小泉直也
  • CSR推進部 部長 前川貴志
  • CSR推進部 CSR推進室 豊永雅士
  • CSR推進部 CSR推進室 高倉純
  • CSR推進部 CSR推進室 金子伸江

 CSR調達や社会的責任監査、人権デューデリジェンスなど、国際社会で求められているビジネスと人権の取り組みについて、まずは基本を理解することが必要ということで、アムネスティの土井さまから、「ビジネスと人権に関する指導原則」のレポーティング・フレームワークに基づいて作成され、国際社会に対して広く情報公開されている先進的なグローバル企業による人権報告書の内容を解説いただきました。
 この人権報告書の内容とマンダムグループが情報公開している理念体系や各種方針、具体的な取り組みなどを比較しながら、わたしたちができていること、できていないこと、今後取り組むべきことなどを土井さまからご指摘いただき、参加メンバーとディスカッションしました。

 ダイアログの中で、アムネスティの土井さまより、「積極的な情報公開が重要。また、広く社外からの情報を入手し、社会課題をいち早く察知して対応することが企業の競争力にもつながる。人権の分野は情報入手やデータ化が難しいが、そういう時こそNGOを上手く使って欲しい。」とのアドバイスをいただきました。
 また、住友理工(株)の鈴木さまからは、「日本では、方針というと額縁に入れて飾っているような印象がありますが、本来は、全社で行動するための基軸であり、各現場の判断基準のはず。部門横断的な横串として、現場が行動できる方針の策定と国際社会の時流に合わせた見直しが必要。」とのアドバイスをいただきました。ちなみに、住友理工さまでは、自動車用部品(防振ゴム・ホースなど)を主に生産されており、現在は、その原料となる天然ゴムのサプライチェーン・リスクの調査と改善を進められているそうです。

 「ビジネスと人権」の取り組みは、企業が自社のサプライチェーンを含む事業活動の全ての段階において人権が侵害されている状況が無いかをモニタリングし、広く社会と連携しながら、公正で持続可能なビジネスモデルへの改善と人権の救済にむけて継続的に取り組むものといえます。また、最近では、「ビジネスと人権」の取り組みを事業活動によるネガティブ(負)なインパクト(影響)を排除する施策として捉えるのではなく、フェア・トレードやコーズ・リレーテッド・マーケティング、ソーシャル・ビジネス、インクルーシブ・ビジネスなど、新しいビジネスやイノベーションの機会として捉える動きも盛んになってきました。


 「CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)」とは、「多様で幅広い社会からの期待・要請に対応する能力」と定義されています。CSRが求められる範囲はますます拡大し、今後も次々と新しい課題への対応が求められます。こうした状況に適切に対応するためには、社内のみの情報や意見、価値観だけで判断するのではなく、社外のさまざまな組織・団体、有識者や研究者の方々からのご意見をうかがいながら、広く社会との共創関係の構築と強化が必要となります。

 今後も、わたしたちは、多様で幅広いステークホルダーや有識者の方々との関係性を構築・強化しながら、CSRの推進に努めてまいりますので、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 ご協力いただきましたアムネスティの土井さま、住友理工(株)の鈴木さま、ありがとうございました。


[コメント] 公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本 土井 陽子さま

 マンダムグループの企業理念にある「人間系」という考え方は、人を中心に企業活動を捉えるという「ビジネスと人権」の考え方と重なり、人権はまさにマンダムグループの経営の中心に置くべき取り組みの一つであるといえます。

 持続可能な社会をつくるためには人権が守られることが前提にあり、企業における人権尊重のための体制づくりや人権デューデリジェンスの実施はますます社会から期待されています。

 「ビジネスと人権」の取り組みを進めるためには、部門を超えた社内の横断的な連携が欠かせません。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際人権基準では、企業はバリューチェーン全体で人権を尊重することが求められており、その責任は広範囲にわたります。マンダムではすでに部門横断的なCSR活動を展開されており、自主勉強会とダイアログを通じて、社員の皆さんがCSR課題の理解に積極的であり、部門間の風通しもよいと感じました。「マンダムグループ考働規範」に含まれている人権尊重の考え方を拡充し、全社的な取り組みに広げる土台はすでにお持ちだと考えます。

 また、マンダムグループのバリューチェーンにおけるCSR重要課題の一つとして「サプライチェーンの人権課題」があげられています。人権侵害が起きやすい高リスク地域で生産・加工される原料のCSR調達やそうした地域での事業活動における人権課題を優先的に進めるのと同時に、サプライチェーンの下流からは見えにくい、こうした上流の人権課題の認識と対応についての積極的な情報開示を期待します。

 自社が事業を通じて関わる人びとにどのような負の影響を与えうるのか、企業の目線では気付きにくいことを指摘するのがわたしたちNGOの役割であると考えています。これからもこうしたNGOとの対話が続くことを願っています。


[コメント] 住友理工株式会社 CSR部 CSR推進室長 鈴木 美波子さま

 ビジネスと人権の取り組みは日本ではまだ認知度が低いかもしれません。しかし、国際社会においては着々と取り組みが進んでいます。

 今年も毎年11月にジュネーブで開催される「国連ビジネスと人権フォーラム」に参加しますが、多くの日本企業が考えもしないようなこと、たとえば今回のダイアログで取り上げられた「人権報告書」に書かれている取り組みが当たり前のように事例として報告されています。このフォーラムも当初は行政やNGOといったセクターからの参加者が多数を占めていたとのことですが、近年は企業からの参加がかなり増え、ビジネスと人権に対して企業が注目しはじめているのが分かります。

 今回のダイアログの事前に、昨年発行された「考働レポート2016」の「インドネシア工場火災事故とその後の対応について」の記事を読ませていただき、まさに「ビジネスと人権」の取り組みであるととても感銘を受けました。日本企業でこのような事故への対応をきちんと開示しているところはほとんどないのではないでしょうか。そんな思いの中、今回のダイアログに参加し、従業員の皆さまの真摯な姿勢を拝見でき、このような取り組みが行われる素地が企業文化としてあるのだなと改めて実感しました。

 住友理工でもビジネスと人権への取り組みは端緒についたところです。業種は違いますが、人権という課題に対して共通するところはあるかと思います。同じ日本企業として一緒にこの取り組みを推進していければと思います。


[コメント] 購買部 購買開発課 塩見 祐子

 購買部の日々の業務では、マンダムグループの調達活動指針のもと、サプライチェーンにCSR上での不適合がないかを留意しておりますが、今回の勉強会では、人権にフォーカスした内容でたくさんの事例をお示しいただき、企業が直面しているリスクや構造的な課題についてより理解が深まりました。

 また、ダイアログでは、先進企業の人権報告書をわかりやすくご紹介いただきました。企業活動における人権リスクの捉え方や設定された課題について知ることができ、自身の業務の先にある「人権尊重」の概念がより具体的にイメージできました。


[コメント] 購買部 購買開発課 笠原 啓二

 わたしは、入社をして新製品の設計活動を行い、現在は購買活動に従事させていただいているため、3R(Reduce・Reuse・Recycle)という環境配慮や品質については意識をしていましたが、人権については日本国内の直接取引先のみを見て、人権侵害などは無縁のものだと思っていました。しかし、グローバルに原材料を調達している現状を考えると、原材料の生産現場がどのような状況であり、品質、環境だけではなく、人権についても守られているかをチェックする必要性を感じました。原材料を購入する会社の責任として、品質、環境、人権を把握しようとする行動が、それらを守ることに直接つながるということを意識して今後の業務を進めたいと思います。


[コメント] 購買部 購買管理課 平田 忠彦

 非常に勉強になり、こういった機会をもっと増やしていただきたいと思います。人権課題において、今まで購買部で話題になることが皆無だったのですが、国際ルール(国際人権基準)にのっとったわが社独自の調達基準の作成を早急に進めなければならないと感じると同時に、社外に対して発信できるようなものにしなければならず、社外のステークホルダーと一緒につくり上げることも求められているとも感じました。そのためには、今まで以上に原材料サプライヤーとの関係を強固なものにするよう取り組んでいかなければならないと感じました。また、経営層を始めとして社内での意識改革をさらに高めつつ、モチベーションを持って進めることが必要であると感じました。


[コメント] 技術開発センター 包材開発室  岸本 正人

 最近、新聞等で見かけることが増えてきたトピックスですが、正直、馴染みが薄く、人権というだけで何か難しく捉えていたように思います。今回の勉強会とダイアログへの参加を通じ、ラギー原則や日本企業の対応の遅れ、人権に取り組む必要性について理解を深めることができました。また、国連グローバル・コンパクトの10原則を支持する人間系企業として、いち早く方針を打ち出し、情報発信する必要性を感じます。 古くから「企業は人なり」と言われますが、人の関わるところに人権ありという意識を常に持ち、今後の業務を通じてサプライチェーンの現状把握に努めるとともに、我々のスタンスや取り組みについてステークホルダーに説明していきたいと思います。


[コメント] 内部監査室 久保 厳吾

 ビジネス環境の変化の速さを改めて認識し、人権問題に取り組まないことがリスクになるという状況になっていることを知る良い機会になりました。また、今回の勉強会は一部の社員だけではなく会社としての理解を深め全社員のベクトルをあわせるうえで大変有意義なものであったと感じます。

 ご紹介いただいた他社の事例も参考にしながら、リスク回避を主目的とする消極的な取り組みではなく、マンダムらしい積極的な取り組みによってアジアを中心とした人々へのお役立ちにつなげていければと思いました。


[コメント]GBマーケティング本部 コミュニケーション戦略部 奥田 学

 普段の業務からは縁遠いテーマに思えていたものが、徐々に身近なものに変わっていき、これまでの知識と意識の無さを実感しました。また、社会の企業の取り組みに対する関心のスピードが年々速まっており、対応せざるを得ない状況にあることも改めて認識しました。グローバルで活躍するということは、このようなグローバルな視点での考えを持たなければならないと認識したとともに、現在、実施している自主勉強会やダイアログというメンバーが限定された教育のみでなく、全社員が認識して同時に考え、動き出さなければ、浸透するまでにかなりの時間を要するという課題もあると感じました。まずは、部内でできることから共有していこうと思います。


[コメント] 第二マーケティング部 一寸木 武

 今までビジネスと人権について考えることは自分とは関係がないことだと感じていました。それはわたしたちよりももっと規模の大きい世界的な企業の負う責任であり、課題だと思っていたからです。しかし、今回の自主勉強会とダイアログを通じてマンダムでも取り組むべき課題だと実感しました。マンダム商品は日本製、インドネシア製、中国製の商品が世界中で流通していますが、すべての原料や資材にいたるまで人権的な問題がないかどうかは私にはわかりません。ただ言えるのは、今後もグローバルで成長していくためには、人権的な問題のないビジネスを行う必要があるということです。これからは自分の業務の中でも何ができるかを意識していきたいと考えています。

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