TOPサステナビリティサステナビリティニュース2019年日本動物実験代替法学会 第31回大会にて研究成果を発表しました。

サステナビリティニュース Sustainability News

コミュニティ参画・発展 動物実験代替法の取り組み2019.01.18

日本動物実験代替法学会 第31回大会にて研究成果を発表しました。

 2018年11月23日(金)~25日(日)の3日間、熊本の崇城大学にて日本動物実験代替法学会 第31回大会が開催されました。今回の大会では、8つのシンポジウム、82演題のポスター発表があり、マンダムにおいても「マンダム動物実験代替法国際研究助成報告会」の開催と共同研究を含めた2つの研究成果の発表を行いました。

 マンダムでは、2008年より動物実験代替法研究テーマに対する研究助成を実施しており、研究助成を通じて国内外の代替法研究の活性化を図ることに貢献してきました。さらに、2013年3月には動物実験を実施しない方針を表明しました。また「マンダムグループ考働規範(2018年度改訂版)」においても、「わたしたちは、商品の品質確保のための各種実験において、動物愛護の観点から、積極的に動物実験代替法技術の開発に注力し、動物実験を全廃し、実施しない」ことをマンダムグループの方針として全社員に確認しています。

 

参考:マンダムWEBサイトCSR情報 > マンダムグループのCSR考働 > コミュニティへの参画および発展 > 動物実験代替法に関する取り組み

 本大会の報告会では、マンダムが2017年度の第10回公募にて研究助成を行った臼井健二先生、杉浦慎治先生の2件の研究テーマに関する発表がありました。また、マンダムからは、以下のポスター2題を発表いたしました(1題は共同研究先の先生が発表)。


~C-SPRA における難水溶性感作性物質に対する適用性の検討~

  • 株式会社マンダム 池田英史(発表者)、高石雅之
  • 株式会社ダイセル 宮﨑洋様、山下邦彦様
  • 甲南大学 濵田芳男先生、臼井健二先生

 世の中のすべての感作性物質(※1)を評価できる動物実験代替法を開発し、「かぶれ」などの肌トラブルに対する生活者の不安を解消したい、という想いから4年前に取り組みを開始しました。
 学会から優秀賞を頂いたほどの注目度を集めた本試験方法の精度を高め、今回の報告では多くの感作性試験法の課題である難水溶性成分を、既存の試験方法よりも多く評価でき、非常に有用性が高いことを報告しました。
 ポスターセッションでは人が絶えることなく、活発なディスカッションができました。今後も引き続き評価方法の確立に向けて取り組んでいきたいと思います。
 (※1)感作性物質 : 過剰な免疫反応により皮膚に「かぶれ」や「アレルギー」を起こす化学物質。


~三次元培養皮膚モデル LbL-3D Skin を用いた皮膚刺激性試験法のバリデーション研究~

  • 大阪大学大学院 赤木隆美先生(発表者)、村上将登先生、明石満先生
  • 花王株式会社 田口浩之様
  • 株式会社マンダム 池田英史
  • 防衛医科大学 宮崎裕美先生
  • 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 加藤雅一様
  • 大阪大学医学部附属病院 山田知美先生
  • 国立医薬品食品衛生研究所 日本動物実験代替法評価センター 足利太可雄先生、小島肇先生

 化粧品を使用した際、まれに赤みなどの皮膚トラブルが起きますが、このようなトラブルのない化粧品の開発に繋げるべく、産官学協働のLbL(※2)技術を用いた試験法開発チームが昨年度に発足しました。
 LbL技術とは、現在の皮膚モデル(※3)の多くが表皮層のみしか作製できないのに対し、表皮層と真皮層を持つヒトの皮膚に近いモデルを簡便かつ短時間で作製できるという革新的な技術です。この技術を応用することで、より生体に近い反応を捉え、高い精度で皮膚トラブルを予測することが可能になります。
 この取り組みには国の機関である国立医薬品食品衛生研究所からの要請を受けてマンダムも参画し、積極的に研究や議論に参加することで大きく貢献してきました。今回、本技術を用いることで既存の皮膚モデルよりヒトに近い皮膚モデルが作製でき、高い予測精度で皮膚トラブルを捉える可能性を見出しました。今後は試験方法の確立に向けて引き続き取り組んでいきたいと思います。

(※2)LbL(layer by layer) : 異なる処理を加えた細胞を交互に浸漬することを繰り返し、層を積み上げることで3次元組織を作製する手法。
(※3)皮膚モデル : ヒトの皮膚に構造を似せた人工のモデル。ヒトの皮膚の代わりに安全性や有効性の試験に使用される。


 現在、様々な分野において動物実験代替法を基本とした試験法の見直しが進んでいますが、まだまだ動物実験代替法だけで安全性を保証することは困難なのが現状です。従って、より精度の高い試験方法の確立が求められており、産官学が共同で試験方法の開発に取り組んでいます。
 このような状況において、マンダム動物実験代替法国際研究助成公募は動物実験代替法開発の推進の一助を担う活動として当学会内でも高い評価を得ております。今後もこれらの活動を推進し、安全安心かつ機能性の高い製品を生活者へ届けられるように全力で取り組んでまいります。

 

マンダム動物実験代替法国際研究助成金研究報告会終了後の記念撮影にて
写真左から、渡邊(マンダム 製品保証部 評価分析室 室長)、松下先生(大会長 崇城大学副学長)、酒井先生(学会長 東京大学大学院工学系研究科)、井上(マンダム 製品保証部 部長)、臼井先生(甲南大学)、杉浦先生(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、秋山(マンダム 製品保証部)

サステナビリティニュース一覧に戻る